合格体験記 No.9【H・Kさんの場合】

【合格】東北大学 医学部

 合格体験記を書けるほど立派な受験勉強をしてきたわけではありませんが、できるだけ詳しく書きますので誰かのお役に立てれば幸いです。

 私は中学受験に失敗し地元の中学校に進学したため、東京一工・医学部合格者の多く占める中高一貫校の出身ではないことをまずはじめに断っておきます。3年前に高校受験を経て都立高校に入学しています。ですから3年間で中高一貫校と戦うだけの力をつけることが難関国公立に現役合格するための必要条件でした。しかしながら、厳しさで言えば校内でもかなり上位の部活に入部してしまいましたので、とにかく隙間時間を活用し生活や思考の中心に学業を持ってくることで学力の強化を図っていました。

 志望校決定までのプロセスについて少しお話ししておきます。医師になりたいというのは小学生の段階からあり、なぜ医学部なのか、という質問には答えづらいのでどのように大学を選んだのかについてのみ話させていただきます。
 まず、私は医学部志望ですが同時に海外志向が大変強い人間でもあります。日本でも海外でも医療行為ができる状態にしたいという思いからハンガリーの国立医大を志望していましたが、コロナウイルスの状況や現地の政治情勢、金銭的な負担を考慮し断念しました。そして田舎すぎない、研究環境が整っている、医局が強いという条件から東北大学を選びました。調べていく中で現役生のみに受験資格が与えられるAOⅡ期という受験制度を知り出願した次第です。(AOといっても一般同様、4教科記述式の学力試験がメインです。)この受験制度を知っている方が周りに一切おらず、また受験時期が一般と大きくズレているため準備を一人で進めなければならないのはかなり大変でした。
 この受験制度を利用する方はほとんどいらっしゃらないと思いますし、私自身本命は一般でしたのでここから先は一般にむけてどう勉強してきたかについて書かせていただきます。

 特別な勉強はしていませんが、(ⅰ)学校の授業を疎かにしない、(ⅱ)criaの授業の復習は3日以内に行う、(ⅲ)週ごとの計画を厳守する という3点は意識していました。

 まず(ⅰ)についてです。criaでの課題をやることと学校の授業を大切にすることは両立し得ない(から学校は捨てる)ことのように捉えている方もいらっしゃるかもしれませんがそんなことは一切ないと思います。私は高校2年生の7月に入塾したのでそれまでの1年3ヶ月は学校の授業のみで勉強していましたし(当時はそれで十分でした)、入塾後も塾の復習として授業を活用していました。criaでの授業は論理を大枠で理解し、難易度の高い問題を扱うという形でしたので、学校では細かい証明の穴を確認したり、抜け気味だった基礎を徹底したりするよう意識していました。現役生であれば週5日*8時間は学校に拘束されるわけですから活用するに越したことはないと思います。

 続いて(ⅱ)についてです。正直、criaは復習をしないのであればあまり通う意味がないと考えています。私以外の方がどのような形で授業を受けていらっしゃるか分かりませんが、少なくとも私の場合はとんでもないスピード(入塾から3ヶ月で数Ⅲを一周、半年で物理化学の全範囲終了)で授業が進みましたので復習で細かい理解をする必要がありました。そして私にとって授業の延長の感覚で復習する(一から問題を読み直さずに済む)条件が授業から3日以内の復習でした。学校に行く前に授業動画のダウンロードと問題を印刷を行い、それを帰りまでに終わらせるようにしていました。復習へのハードルが低いうちに終わらせることは時短にもなりますし深い理解につながります。
 具体的な復習としては数物化全てA4版のノートの左側に問題の印刷を貼り右側に答案を書くという形を取っていました。授業の動画や板書は極力見ずに解き、確認が必要な場合にはダウンロードしてきた動画を再生します。もう一度自分の力で答案を作ることで自分がどこで詰まったのか、何が足りなかったのが鮮明になるのでおすすめです。ノートにまとめておくことで長期休みでの復習がしやすくなりますし、また目に見えた形で積み重なるので自信にもなります。

 (ⅲ)についてです。去年慶應の医学部に進学された先輩が最低一ヶ月前には計画をすでに決定しておくとお話しされていたので私も実践しましたが、根が怠惰&同じ教科を連続して勉強したい私はあえなく撃沈しました。それまでも勉強計画はことごとく頓挫してきており、結果たどり着いたのが以下の方法です。
 まず入試時期から逆算してこの月にはここまで完成させる、という大まかな目標を立てます。(あとから修正は加えましたが)私は高一の段階で作成していましたので、ここでは割愛させていただきます。つぎにその計画に基づいて各月の終わりに自身の課題を確認し、次の月にやるべきタスクと概算した所要時間を算出します。所要時間が、確保できる勉強時間をオーバーする場合にはタスクを削ったり、翌々月に回していました。次にこれらタスクを優先度の高い順に一週間でやるべきものとして落とし込みます。何曜日に何をやるかは自由ですがその週のタスクは次の週には持ち込めません。次の週にも同程度の課題が待っているわけですから負債を残したら最後、もう回収できないくらいに思っていた方が良いです。隙間時間(学校の昼休みなど)をフルに活用して、意地でも終わらせる気概が必要かもしれません。例えば私は朝友人と通学していましたが、待ち合わせの2、3分前に家の外に出て英単語を覚えていました。

 傲慢ですが私に合格できた要因があったとすれば、それは高二までの勉強の積み重ねだと思います。私の在籍する高校は各中学校のトップ層が集まるので、勉強のスペックが高い人が多いです。凡人の私は周りが本気を出し始めたら自分は追いつけないということを、入学してすぐに悟りました。ここで対人関係や部活に対して良いのか悪いのか冷淡になれた気がします。以前のブログから借用すれば、幻滅に近い感覚だったのかもしれません。国公立医学部に現役で合格したいというのは高一で既にありましたので、「周りが勉強し始めてどんなに追い抜かされても現役合格できるくらいの学力を高二までにつける」ことを目標にしました。前述の通り部活が週5であり、土曜講習や模試などが入ると1ヶ月1日も休みがないということも多かったので体力的にも精神的にも厳しいものでしたが、周りには合わせない自己中心さと冷酷さで勉強できたのかなと思います。凡人は努力するしかありません。周りと比べてもその人たちと必要な勉強量は違いますから、精神を摩耗するだけだと思います。戦う相手はいつでも自分一人です。そしてその努力の手段や工夫が上記の(ⅰ)から(ⅲ)でした。 

 また休校期間は同じ部活で学業優秀な友人とオンライン授業後毎日7-8時間無言で電話を繋ぎ勉強、分からなければ質問しあっていました。長時間同じ部屋で一人勉強するのはやはり飽きるので休校中これは大変有効でした。ただこの電話はかなり相手を選ぶのでこちらが利用できる相手を冷酷に選んだほうが良いかもしれません。他にも練習試合などの外出時はいつでも参考書を持ち歩き、使用する電子機器の言語はすべて英語にするなど学習に費やせる機会は逃さないようにしていました。(これも隙間時間を活用するための工夫の一つです。)もちろん人によってどの方法が合うのかは違いますからこれらを参考にしつつ試行錯誤してみてください。
 
 そして私の後悔についても書いておきます。こうできればもっと上を目指せたかもしれない、と思っていることなのでこれから受験される方は反面教師として活用していただければと思います。
大学受験ではよく、厚く一周するよりは薄く何周もする方が良いと言われていますが、その”薄く”は思っているほど薄くなかったと感じています。正直、1週目は概要を理解すれば良いくらいの感覚でいたので2週目に大変苦労しました。当たり前ですが基礎のない上に発展は乗りません。
私は高校2年生の7月に入塾し、そもそも重ね塗りできる回数が少なかった(=2週目の難易度の飛躍が著しかった)のもあると思いますが、基礎が危うかったことで復習に必要以上の時間がかかり、そして忘れるのも早かったです。応用できる範囲も限られてしまっていました。***3までは脊髄反射で解けるレベルに持っていき、暗記事項もその場で覚えきっていればもう少し演習量がこなせたのではないかと後悔しています。

 ここまで長々と書いてきましたが、私が勉強に懸けてこられたのはその先にしかない成長があると信じてきたからです。自分自身を高めなければ得られない考え方や出会えない友人、環境は確かに存在しています。高校受験も大学受験もそれらを求めて勉強してきました。実際、高校で得た機会を利用してフォーラムに参加したり、友人と社会問題について議論したりした経験は大きな財産ですし、人間としても成長させてくれたと思います。私が努力できた根源はここにあります。
 新しい、レベルの高い環境だからこそ得られる人間的な成長を求めて貪欲に努力してみてください。criaにはその環境が揃っています。応援しています。

Translate »